スイゼンジノリとは

スイゼンジノリ | 学名:Aphanothece sacrumu
Sacrumuは、オランダの植物学者・シュリンガーがスイゼンジノリの生育環境の美しさに感動して与えた“聖なる”という意味

スイゼンジノリ

スイゼンジノリは、九州の阿蘇山系の伏流水のみで育つ非常に珍しい藍藻です。

藍藻は、およそ25~30億年前に、地球上で最初に光合成を行い、酸素をもたらした原始的な生物です。藍藻の光合成は、地球上に初めて酸素と有機物を安定的に供給し、その後の地球上の多種多様な生物の繁栄に寄与しました。

その藍藻のなかでも、スイゼンジノリは、九州の阿蘇山の火山灰層を通ることで生み出されたミネラル分豊富な地下水のみで育つことができる貴重な品種のひとつです。

また、スイゼンジノリは、食することのできる稀有な藍藻です。生育環境に起因して、カルシウム分、鉄分を非常に豊富に含んでいます。近年の大学における研究において、健康に重要と言われる抗酸化作用も持つことも分かってきています。

さらに、スイゼンジノリは、細胞を保護するために細胞外多糖であるサクラン®(Sacran®)を分泌していることが2007年に岡島麻衣子氏の研究により発見されました。岡島氏らの研究により、サクラン®という硫酸化多糖類は、ヒアルロン酸の約5倍もの水分保持能力があることも分かっており、化粧品素材としての大きなポテンシャルを秘めています。

我々は、熊本の美しく豊かな水資源により生み出された「日本の財産」であり、「奇跡の生物」であるスイゼンジノリが、私たちの美容と健康に大きく貢献する生物であると確信し、さらなる研究・開発を続けています。

スイゼンジノリの歴史

藍藻は、地球上に広く分布しており、その品種の数は約1,500種といわれております。スイゼンジノリは、淡水で成育する藍藻であり、地球上で淡水環境が整った後に誕生したと考えられるため、藍藻の中では、比較的新しい品種になります。

江戸時代には、細川藩(熊本)や秋月藩(福岡)で特産品の高級食材として大切に保護・育成されおり、幕府への献上品になるなど、藩の財政を支えていたと言われております。

このスイゼンジノリの養殖は、藍藻が、食用として人工的に養殖された事例として世界的に見ても最古と言えるほど古く、歴史的・文化的価値が非常に高いものになります。

明治維新後、オランダの学者であるスリンガー氏により、スイゼンジノリは世界に紹介され、その生育環境の素晴らしさから「聖なる」という意味をもつ「Sacrum」という学名をつけられました。スイゼンジノリが分泌する細胞外多糖であるサクラン®(Sacran®)は、スイゼンジノリの学名にちなんで命名されています。

スイゼンジノリの未来

スイゼンジノリの養殖は福岡県朝倉市の黄金川と熊本県上益城郡益城町で行われております。黄金川周辺では、環境変化から地下水量が低下しており、収穫量が最盛期に比べて大きく減ってきています。グリーンサイエンス・マテリアル株式会社では、スイゼンジノリ・サクラン®の利活用を通して、この貴重で素晴らしい生育環境、歴史的・文化的価値を守る活動を継続的に養殖業者様と共に取り組んでいます。

また、様々な用途におけるサクラン®の活用に期待が高まる中、サクラン®を安定的に供給することとスイゼンジノリの種の保全を両立させる方法として、屋内における人工培養方法をDIC株式会社と共に確立しました。今後はより一層、スイゼンジノリ・サクラン®に関する研究開発や情報発信、製造・販売をグローバルに展開してまいります。

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